【キーンバウム】人材コンサルティングの役割 ―ドイツの労働市場1―-人材採用と人材育成の人事専門誌-日本人材ニュース


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2020-01-23

キーンバウム ジャパン

【キーンバウム】人材コンサルティングの役割 ―ドイツの労働市場1―

 ドイツで新たに従業員の採用する際には、まずはドイツの労働市場について理解する必要がある。今回は、簡単ながらもドイツの労働市場の特徴を考察する。
欧州経済をけん引するドイツは、Albert (1991)やDore (2000)が指摘するように、アングロサクソン諸国の自由な市場経済に対して、日本と同じようにコーディネートされた市場の代表格に位置づけられる。とりわけドイツでは、企業の協力と社会制度によって人々が職を取得できるよう整備されてきた。

 手工業の徒弟制度の影響力のもと、現場での実践と学校での理論の二元的学習を行うことで、一つの専門の「職」における職業資格を形成し、それを社会的に認めていくという制度を、ドイツ企業は利用してきた。市場の変化に応じて新しい職種の需要が生じたとき、ドイツはその需要に応えられる職をつくり、その職に対応した教育及び資格を整備していった。結果として、手工業における技能職だけでなく、企業内の技術職や営業職、事務職、管理職などのホワイトカラーの職種にまで養成システムが構築された。さらに、この二元的な職業取得メカニズムは高等教育レベルの職にまで及び、デュアルシステムの制度によって養成ルートが確立されている。「職」とその教育及び職業制度がドイツでは社会、経済、企業の基盤を形成しているのである。(田中 2009)

 デュアルシステムによって、現場職種から商業系・技術系などのホワイトカラー職種に上昇する可能性が開かれているが、ホワイトカラー職種における商業系と技術系との間は切り離されている。商業系から技術系に移ることは考えられず、その反対も同様に、管理職に就く場合も、商業系であれば商業系の管理職、技術系であれば技術系管理職として位置づけられることが多い。つまり、職種の専門性が、個人の職業人生を規定するのである。しかし、職務においては濱口(2018)が「雇用契約書に職務等を明記して仕事の範囲が決められるが、詳細な規定はなく、記載された職務の範囲内で上司が部下の職務を柔軟に変更することもある」としているように、細かい業務については厳格に規定されているわけではないが、職務の範囲が雇用契約で明確に決められていることがドイツの特徴として捉えることができる。

 ドイツの労働市場は、職業社会によって支えられている点だけでなく、ドイツでは産業レベルで締結される産別協約が、当該産業における労働条件を定立している点にも特徴を見出すことができる。ドイツでは伝統的に産業別に組織された使用者団体と労働組合が協約システムの中核的な役割を果たしてきたのである。次回は今回に続き、ドイツの労働市場の特徴について考察する。

【著者の紹介】
金子周平 KANEKO, Shuhei
筑波大学大学院人文社会科学研究科修了後、同年よりキーンバウムジャパン(Kienbaum Japan)社員。専門は日独労働経済。

キーンバウムジャパン / Kienbaum Japan
https://international.kienbaum.com/japan/

【参考文献】
Albert, M.(1991)Capitalisme Contre Capitalisme Paris(小池はるひ訳,久本宏之監修(1996)「資本主義対資本主義」竹内書店新社.
Dore, Roland. (2000). Stock Market Capitalism, Welfare Capitalism : Japan and Germany vs Anglo-Saxon, Oxford University Press.
石塚史樹(2008)『現代ドイツ企業の管理職層員の形成と変容』明石書店.
田中洋子(2009)「ドイツ大企業におけるホワイトカラーの生成についての実証研究」.
濱口桂一郎(2018)「この国の労働市場 横断論考」『日本労働研究雑誌』No. 693/April, 2-10.
持田幸男(1995)『近代ドイツ「資格社会」の制度と機能』名古屋大学出版会
山本陽大(2014)「産業別労働協約システムの国際比較 ―ドイツ・フランスの現状と日本の検討課題」『日本労働研究雑誌』労働政策研究・研修機構56(11),74-84.

※当ページの情報は、プレスリリース配信各社の責任で提供されるものです。

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